小泉自民党に学ぶ広報戦略のポイント

小泉自民党の大勝は、広報の観点からみても今年の重大トピックスといえるでしょう。広報活動の総指揮をとった世耕弘成参議院議員は、縦割りでバラバラに行われていたさまざまな広報機能を「コミュニケーション戦略チーム」と名付けたプロジェクトチームに一本化し、そのチームに外部コンサルタントの「プラップジャパン」の参加を得、自民党の歴史で初めて戦略的選挙広報を展開したのです。
眼を海外に転ずれば、昨年のアメリカ大統領選挙ではカール・ローブ補佐官が広報戦略を統括し、地すべり的大勝の原動力となりました。
世耕議員のとったアクションで見逃せないのが、党本部の6階にあった広報本部長室を4階の幹事長室の隣に移したこと。事実世耕議員がホームページに公開している日記を見ると、ここを拠点としてでしょうか小泉・武部・与謝野・安倍・竹中といったキーマンと頻繁にミーティングを行い、精力的なコンセンサスづくりの活動を繰り広げています。
広報を語る場合、かならず「トップ広報」が大事だと指摘されます。この意味合いは、取材対応や緊急時にあたって、トップが前面に立たなければならないということとともに、広報はトップの意を戴して社会に働きかけ、その活動により把握した社会の意志や価値観の変化を、かならずトップにフィードバックし経営戦略に反映させなければならないということでもあります。
その観点から、今回の世耕議員の活動は広報のお手本とでも言うべきものでしょう。NTTの本社で広報部報道担当課長をつとめ、ボストン大学で、企業広報論の修士号を取得した広報の専門家ならではの動きです。