今後の展望

【濱田】さて、選挙中の広報と同時に、日常の広報も重要と思います。コミ戦は解散したのですか。
【世耕】いいえ、隔週ぐらいのペースでミーティングを継続しています。選挙中は1日の単位でPDCAサイクルを廻しましたが、これからはもう少し長いサイクルで日常的に運営します。選挙中には手がけられない改革を進めていきます。たとえば、現在シンクタンク創設の準備を進めていますが、ここでは政策研究機能と同時に政策コミュニケーション機能を持たせます。これを核にして、国民各層に幅広く支持される政党への転換を推し進めたいと思っています。普通の日本人から、やはり自民党だといってもらいたいのです。
また、党ではありませんが、官邸の広報改革も必要です。安倍官房長官は記者会見の事前準備に15分ぐらいしか時間をとれません。民間企業から考えると信じられない脆弱さです。時には各省庁から組織防衛や自己保身の色濃いペーパーがあがってきます。官の論理と民の感覚を調整する広報の機能の強化が絶対に必要です。たった15分では政治のリーダーシップは発揮できません。
【濱田】お話しをうかがって、ニュー自民党の息吹に触れた思いがします。
【世耕】今回、なにも私は手品をやったわけではありません、広報としてなすべきことをひとつひとつきちんと行ったに過ぎないのです。やはり勝利の原動力は小泉総理であり、その政策です。私がやったことは、小泉旋風の後ろをうちわであおいだくらいでしょう。しかし、着実に改革をすすめ、それを適切に広報すれば結果がついてくることを証明したのだと思います。今後も党改革と広報改革を進めますので注目してください。


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*1:楽しいインタビューでした、何をうかがっても明晰な答えが返ってきます。紙幅の都合ですべてをご紹介できないのが残念です。今回の作業に戦略パートナーとして参画したプラップ・ジャパンの矢島社長からは「民間企業の広報経験を活かされただけでなく、党の縦割り組織を横断的にまとめ、果敢な決断力と実行力を発揮されたことが最大の功績だと思います。」というコメントをいただきました。私は今回の選挙の功労者として、総理を別にすれば、「一に世耕、二に小池、三四がなくて五にチルドレン」を挙げていましたが、改めて確認した思いです。今回の成功が、政治における広報の関心を高め、やがてそれが行政の広報に広がっていく起爆剤になることを期待しつつ議員会館を後にしました。