経営資源としてのコミュニケーション能力

企業成長を支えるコミュニカビリティ

限界に近づいたマスメディア広告と、目覚しい伸長をつづけるインターネットの現状を確認し、企業コミュニケーションの変化の方向を考察したうえで、インターネット広報の現在を見てきた。
インターネット広報の手法は発展途上であり、目覚しい成功事例はいまだ乏しい。しかし、インターネット広報の役割はますます重要であり、一層の研究が必要であることは間違いない。
高度成長期には「企業」が日本の経済発展の原動力だった。そこではマスの論理に立脚し、生産性の向上、すなわちプロダクティビティの向上が追求され、その成否が企業成長を左右した。
今世紀に入り消費者主権は強化され、「顧客」が社会の発展の牽引力になってきた。消費者ニーズをいち早く洞察し、それへの対応に優れた企業が成長の果実を享受する時代に入ったのだ。
プロダクティビティよりむしろコミュニケーションの能力、いわば「コミュニカビリティ」が企業の成否を分ける時代に入ったと言えよう。
そのとき、企業コミュニケーションにとって重要なのは、消費者や社会からのフィードバックが持続的にループするようビルトインしている広報のあり方である。
最後に、消費者との迅速な対話を可能とするインターネット広報は、企業のコミュニカビリティ向上の切り札であり、それが即ち21世紀において企業成長のための重要な資源であると指摘したい。