平成の大合併

このところ、地域ブランドをテーマに各地を廻っている。気がつくのは、平成の大合併により、日本地図が大きく塗り替えられていることだ。
小学校で地理を学んで以来積み上げてきた土地鑑を作り直す必要がありそうだ。
平成16年度の半ばまでは3000を超えていたわが国の市町村数は、既に1800を割り込んでいる。
少子高齢化が進展する中、今後見込まれる地方分権の受け皿である基礎自治体の体質強化と、地域経営の発想とが行政に根付いて行くとすれば歓迎すべきことかもしれないが、実際に担当されている自治体の職員諸氏はさぞやご苦労なこととご同情申し上げる次第である。

ところで、ブランド論の立場から自治体合併を見ると、そこにはプラスとマイナスとが存在する。
ブランド論の原点を改めて指摘するのも面映いが、ブランドの要諦は、①ブランドの中身をしっかりと作りこみそれを的確に生活者にコミュニケートすること、②送り手の立場ではなく受け手の立場から考えること、である。
地域の特色ある特産品を磨き上げ、全国に情報発信することで地域間競争に勝ち抜くためには一定程度の規模・能力が必要なことから、自治体合併はプラスに作用するだろう。
他方、新しい名称が生活者から認知されなかったり、合併により伝統ある名前が消えてしまった場合は、ゼロからのスタートが求められる。