民間企業にみる合併ブランド戦略

私は民間企業の合併に伴うブランディングやCIをこれまでいくつか手がけてきた。
その際、つねに問題となったのは、これまで築きあげてきたブランド資産を継承するのか、それとも全く新しいブランドを作り上げるのかだ。
そしてその戦略方向は、名称に端的に現れる。
銀行の合併に例をとれば、興銀と第一勧銀と富士銀行の3行が合併した「みずほ銀行」は全く新しいブランドを志向し、「三井住友銀行」は母体両行のブランド資産を受け継ぎつつさらに発展させようとの意思を読み取ることができる。あるいは、かつて住友銀行が平和相互銀行を吸収し「住友銀行」のまま営業を継続したケースもある。
百貨店業界を見ると、「三越」と「伊勢丹」も、「大丸」と「松坂屋」も、「そごう」と「西武」も、「阪急」と「阪神」も、いずれも経営統合しても、店名の変更は行っていない。
このようにみてくると、民間企業では合併に当たってのブランド戦略は大きな経営課題であることが理解できる。