事例 社長ブログ 

ブログの開設・運営者の中には、企業経営者も多く含まれている、ニフティ古河建純社長、マイクロソフトの古川亨社長、GMO熊谷正寿社長、ライブドア堀江貴文社長、サイバーエージェント藤田晋社長、クララオンライン家本賢太郎社長、マネックス松本大社長、エキサイト山村幸広社長など、IT系企業のトップに多い。
従来型発想では企業トップが個人的発言を公表することへのためらいがあるが、IT系の企業においては、社長のブログ公開はさして珍しくない。
社長ブログの公開の意味はいくつか考えられる。

  • サービス最前線に立つ覚悟

前に列挙した社長ブログのいくつかには、サービスに対する罵声に近いクレームが多く寄せられているものがある。
サーバのダウンや回線の輻輳などへのお詫びを社長自らがブログで公表することもまれではない。
社長ブログの継続は、サービス最前線に立ち、顧客の満足水準を自分の肌で実感する効果が大きい。

  • IRへの影響

株式上場している企業では、社長の発言は直接株価と連動する。ライブドア堀江貴文社長のブログ はその代表的なケースで、ブログでの堀江社長の発言がそのままYAHOO!のライブドア掲示板で話題となるルートが出来上がっている。
経営の透明性を担保する役割は大きい。反面、正当なチェックを経ない社長の意見表明が株主をミスリードする危険もはらんでいる。第2のエンロンを生み出さないために、何らかのガイドラインがコンセンサスとして生み出されるべきである。

  • 社内での理念の共有

社長ブログは経営の状況と、将来へのビジョンを社内外で共有する意味は大きい。特に社員に対しては企業文化を形成するメディアとして機能する。たとえば、サービスに対するクレームの対応姿勢は、社内に対しサービス向上の指針となるだろう。
マイクロソフトビル・ゲイツ、GEのウェルチなどは、社員個人とのメールのやり取りを通じマネジメントするスタイルで有名だが、コメントやトラックバックなどのコミュニケーション機能を備えたブログは、トップにとってのコミュニケーションツールとしての可能性を内包している。今後、イントラネットでの社長ブログは増加するものと思われる。
社長ブログを外部に公開出来るか否かは、企業文化、組織風土、意思決定システム、社長のリーダーシップスタイルなどにより決定するだろう。
ピラミッド組織を前提とした意思決定システムを持ち、社内的調整なくしては何事も決まらない会社にあっては、公開社長ブログは匿名の私的なものでしか存立し得ない。