多士済々の仲間たち

戦中戦後の古川柳研究会には、後に名を成す多士済々のユニークなメンバーが集まっていた。
点描してみよう。山路閑古は共立女子大の化学の先生。川柳を坂井久良岐、俳句を虚子に学んだ文人でもあった。その閑古と三高同窓の比企蝉人は東京学芸大の化学の先生。化学者を意味するセミスト(=舎密人)から柳号をとっている。末摘花など破礼句で知られる岡田甫は市井の研究者。逓信官吏練習所出身の大村沙華は後に東京貿易通信社長。杉本柳汀は高校の先生。山沢碌々は外科のお医者さん。富士野鞍馬は川柳番傘同人としても高名。田中蘭子は三ノ輪のメガネ屋さん。いうまでもなく柳号は乱視のもじりである。専門の文学研究者では、父の妹を娶った吉田精一も参加している。