戦略と理念の社内共有がますます重要に

ブランディングに注目が集まる中、社内コミュニケーションの重要性が再認識されている。
ブランドとは、その企業や商品に対するステークホルダーの認識の総和であると言われるが、そのブランド認識をつくるのは、商品そのものや広告であるとともに、パッケージのデザインや付加的サービス、人的サービス、顧客の使用体験、耳にした噂など、すべてのコンタクトポイントであると考えられるようになってきた。ブランドは広告だけではつくれないということである。
特に、ブランドの確立にむけて、社員の果たす役割は大きい。
であればこそ、資生堂はその大胆なブランド革新にあたり、『マキアージュ』や『TSUBAKI』などの主力新商品の開発投入に加え、顧客の接点となる美容部員の販売ノルマを撤廃し、顧客満足度での査定方式を採用した。接客部門にとどまらず、前田新造社長は全社員に対し、顧客へ『感動』を提供することの重要性を訴えている。
経営資源である人・モノ・カネを選択と集中の原則に則り、商品別に傾斜配分するには、全社的なコンセンサス形成が不可欠だからだ。
シアトルに生まれ全米に店舗を拡げている靴や衣料を中心としたスペシャリティストア『ノードストローム』は、顧客満足を理念として掲げ、顧客からの返品はいかなる理由であれ、笑顔で受け入れてくれる。
この笑顔の背後にも、店頭の販売スタッフにとどまらず、全社的に戦略と理念の共有がなされていることは容易に理解できよう。